詩を味わう『ポケット詩集』? 008:ひとり林に…… ― 立原道造

詩を味わう『ポケット詩集』? 008:ひとり林に…… ― 立原道造

より抜粋

    「だれも 見ていないのに
    咲いている 花と花
    だれも きいていないのに
    啼いている 鳥と鳥

通りおくれた雲が 梢の
空たかく ながされて行く
青い青いあそこには 風が
さやさや すぎるのだろう」

以上、引用は、田中和雄 編『ポケット詩集〈2〉』P32、33より

わたしがひとり林にいたなら……

まず樹の精に問いたい
きみはそこにいるのかと

そして風の精に問いたい
その風のどのあたりにいるのかと

空は青くて すべてを飲み込んでしまいそう

雲は白くて 純潔を守った花嫁のよう

山は構えて 相撲をとる相撲取りのよう